目次
はじめに [松田素二]
序 章 コリアン・ディアスポラの形成と再編成 [鄭 根埴]
1 ディアスポラとは
2 植民地主義と近代の「離散」
3 冷戦による分断とディアスポラ
4 ポスト冷戦とディアスポラの解体
5 コリアン・ディアスポラ研究の進展のために
第I部 コリアン・ディアスポラの民族関係−−東アジア社会から
第1章 在日朝鮮人−日本人間の〈親密な公共圏〉形成
—−「パラムせんだい」において「対話」はいかに成立したのか? [山口健一]
1 はじめに
2 〈現代日本社会〉と「公共圏」としての「パラムせんだい」
3 「パラムせんだい」における「対話」の社会的結合様式
4 むすびにかえて
第2章 在日朝鮮人女性の識字教育の構造
—−1970—1980年代京都・九条オモニ学校における教師の主体に着目して [山根実紀]
1 はじめに—在日朝鮮人女性と識字教育—
2 南部教会再建運動と九条オモニ学校
3 九条オモニ学校における教師の語り
4 おわりに—識字教育構造と教師の関係性—
第3章 「見えない朝鮮族」とエスニシティ論の地平
−−日本の新聞報道を手掛かりに [権 香淑]
1 「見えない朝鮮族」をめぐる問題構制
2 朝鮮族をめぐる報道内容とその傾向
3 朝鮮族の報道内容から読み取れるもの
4 エスニシティ論の地平を拓くために
第4章 ポスト冷戦期における在日朝鮮人の移動と境界の政治 [趙 慶喜]
1 ディアスポラの逆移動
2 境界線上の国籍
3 民族 / 多文化のダブル・スタンダードを超えて
4 〈想像的移動〉の効果
5 むすびにかえて
第II部 民族的共同性生成の現場—日本社会から
第5章 在日朝鮮人のナショナル・アイデンティティを再考する
—−3・4世朝鮮籍者の「共和国」をめぐる語りを手がかりに [李 洪章]
1 目的と問題意識—多彩な在日朝鮮人のナショナル・アイデンティティ
2 朝鮮籍とは何か—管理体制の変遷と現在
3 ナショナル・アイデンティティ論導入の有用性
4 インタビュー・データの分析
5 能動的かつ主体的なナショナル・アイデンティティ形成
6 おわりに—脱植民地主義思想としてのディアスポラ
第6章 多様性と響き合う「在日朝鮮人」アイデンティティ
−—在日3世学生たちの学びの運動から [孫・片田 晶]
1 在日アイデンティティの課題
2 マイノリティの運動とアイデンティティの「ジレンマ」
3 韓学同京都の「在日朝鮮人」アイデンティティ
4 多様な個人史と相互作用する「在日朝鮮人」アイデンティティ
5 学びと連帯のアイデンティティの運動
6 多様なアイデンティティの枠組みの可能性
第7章 民族間結婚による「近さ」の再編—−2人の在日朝鮮人男性の「特殊」な結婚事例から [橋本みゆき]
1 民族間結婚はいつまで「困難」なのか
2 インタビュー調査について
3 事例1 洪英甫の結婚
4 事例2 具守連の結婚
5 共同体を横断する親密圏
6 おわりに
第8章 在日朝鮮人の居住と共同性—「不法占拠」という地平からの一考察 [山本崇記]
1 「不法占拠」 / スクオッティングの間
2 居住と共同性へのアプローチ
3 「不法占拠」という地平
4 共同性の剔抉へ—モノグラフの必要性
第III部 「在外同胞」と民族意識—韓国社会から
第9章 在外同胞法と在韓外国人の法的地位変遷の関係性 [佐藤暁人]
1 在韓外国人の法的地位をめぐる課題
2 在韓外国人の法的地位:在外同胞法以前
3 在韓外国人の法的地位の変遷:在外同胞法制定を契機に
4 在韓外国人の法的地位:在外同胞法制定以降
5 おわりに 在外同胞法と公共性
第10章 祖国とディアスポラ—1970年代韓国映画における在日朝鮮人表象 [金 泰植]
1 朴正煕政権と国民的記憶の創出
2 朴正煕政権と在日朝鮮人
3 『EXPO70東京作戦』(1970)
4 『帰ってきた八道江山』(1976)
5 在日朝鮮人表象の政治性
第11章 1970年代在日同胞母国訪問事業に関する政治社会学的考察 [金 成姫(金 泰植 訳)]
1 問題意識—母国訪問事業と韓国社会
2 「在日同胞母国訪問事業」とは何か
3 母国訪問事業の意義
4 結論
第12章 経済的インセンティブと「道具的民族主義」
−—在韓中国朝鮮族を中心に [朴 佑(金 泰植 訳)]
1 研究目的および問題提起
2 朝鮮族労働者の韓国進出:制度的背景と経済社会的特性
3 朝鮮族留学生の韓国留学:制度的背景と経済社会的特性
4 経済的インセンティブ,そして「道具的民族主義」
5 道具的民族主義と「アイデンティティの変容」
あとがき [松田素二・鄭 根埴]
索 引
執筆・翻訳者紹介