紹介
20世紀を代表する名指揮者、ブルーノ・ワルター(1876-1962)についての、決定版とも言うべき伝記である。多くの資料を緻密に渉猟し、この指揮者を知る人々への丹念な取材をもとに、非常に真摯な態度でワルターという芸術家の本質に迫った大著である。原著は2001年に刊行後、一度改訂されている。目次からもわかるとおり、19世紀末から20世紀初頭のベルリン、ウィーン、ミュンヘンほかドイツの歌劇場の音楽監督を歴任したワルターであったが、その後半生は、戦争中のナチスとの確執、そしてアメリカへの移住といった激動の生涯をたどる。時代に翻弄されたブルーノ・ワルターという一音楽家の姿を通して、人間と時代のあり方を考えさせる名著である。
目次
改訂版へのまえがき
序文
謝辞
第1章 ブルーノ・シュレジンガー
ベルリン、ケルン、ハンブルク 一八七六-一八九六
第2章 カペルマイスター・ワルター
ブレスラウ、プレスブルク、リガ、ベルリン 一八九六-一九〇一
第3章 マーラーの副官
ウィーン 一九〇一-一九〇七
第4章 作曲家として、指揮者として
ウィーン 一九〇八-一九一〇
第5章 初演続き
ウィーン、ミュンヘン 一九一一-一九一二
第6章 音楽総監督
ミュンヘン 一九一三-一九一五
第7章 デリア
ミュンヘン 一九一五-一九二二
第8章 新世界と旧世界
アメリカ、ベルリン 一九二三-一九二五
第9章 新しいオペラ・カンパニー
ベルリン 一九二五-一九二九
第10章 ゲヴァントハウスカペルマイスター
ライプツィヒ 一九二九-一九三三
第11章 再び放浪の身に
一九三三-一九三六
第12章 怒りの日
ウィーン、パリ 一九三六-一九三九
第13章 東西両岸の客演指揮者
ニューヨーク、ロサンゼルス 一九三九-一九四七
第14章 音楽顧問
ニューヨーク 一九四七-一九四九
第15章 得たものと失ったもの
ロサンゼルス、ニューヨーク、ヨーロッパ 一九四九-一九五六
第16章 モーストリー・モーツァルト
一九五六-一九五七
第17章 コロンビア交響楽団
ロサンゼルス 一九五七-一九六二
訳者あとがき
ワルターの演奏録音から近年の注目作
ブルーノ・ワルター作曲作品の近年の録音
フィルモグラフィ
推奨ディスコグラフィ
注
索引