目次
第I章 日本人と動物芸術——「はじめに」に代えて
1 「かわいい,りりしい,たのもしい」——動物画と動物写真
2 江戸時代動物画の範疇
3 江戸の〈動物画〉思考——本書の構成
第II章 〈月の兎〉の図像と象徴
1 現代に棲む〈ウサギ〉たち
2 〈月の兎〉という言説
3 連想イメージとしての「月」と「兎」
4 「玉兎」の造形とフォークロア
5 烏と兎——「日月」の聖性図像
6 御仏の降臨——葛蛇玉筆「雪夜松兎梅鴉図屏風」
第III章 虫たちの在り処——擬人化の詩学
1 虫けら曼荼羅の宇宙
2 江戸の虫画
3 〈虫づくし〉の詩的機能
4 俳文と〈虫づくし〉
5 写生と擬人
6 〈虫けら〉という我が身
第IV章 〈眠れる猪〉という祝福——動物写生画・森派とことば
1 森一鳳筆「猪図」
2 森派と「写生」
3 「臥猪」と「ふすゐ」
第V章 仔犬と髑髏——長澤蘆雪画をめぐる〈ことば遊び〉とフォークロア
1 長澤蘆雪筆「幽霊・仔犬に髑髏・白蔵主図」の謎
2 〈幽霊画〉の言説,そして応挙——中幅「幽霊図」の背景
3 化け狐の正体——左幅「白蔵主図」の変化
4 美人と髑髏の物語——右幅「仔犬に髑髏」の隠喩
5 「艶色を戒むる」——諷喩の形象としての三幅対
6 女と犬のフォークロア——中幅と右幅との民俗学的関係
7 〈聖と俗〉の犬——三幅対とことば遊び
あとがき ——「江戸の花鳥画」の明日のために